デパプリ感想を語るブログ

「デリシャスパーティープリキュア」の感想をと面白さの秘訣を語る専門ブログです。

映画感想追記

デパプリ映画について書き忘れていた項目があったので追記しておきます。

あの作品の主題は「ヒーロー」でした。

ケットシーとコメコメがそれぞれ、「ゆいのようなヒーローになりたい」

そう願った事が物語の主軸になっていた訳ですが、

 

そういう物語をやるとなった場合には

必ず入れなければならない要素があります。

 

それは

「ヒーローとは具体的に何なのか?どんな人なのか?」

ということ。

 

仮にそれを示さずにコメコメに「ゆいみたいなヒーローになりたい」と

言わせただけでドラマを進行させてみても、視聴者の共感を誘う事は出来ず

結果は作者の独りよがりな作品に仕上がってしまったはずです。

 

そして田中仁という脚本家はそういうミスを決してしないのです。

(私の知る限りでは見た事が無いというだけですが。)

 

 

映画の中盤にはゆいが迷子に駆け寄って声をかけ、手を取って保護者を探し、

歩き疲れたであろう子をおんぶまでしている。

そして保護者に出会えた子は姉妹揃って「笑顔」を見せる。

その姿にコメコメは目を輝かせ、「やっぱりゆいはヒーローだ」と

口にするのです。

 

同様に、ケットシーもゆいと出会って「笑顔の作り方を思い出す」

「元気になって、また夢を追いかける気力を取り戻す」。



 

変身して戦う姿もカッコいいけど、コメコメが憧れたのはそこではなく

地味だけどとてもやさしい、人を笑顔にするために頑張る姿。

 

だからこそ、ラストバトルが終わったあとの

ケットシーの過ちを正して再起を促した」コメコメに対して

「君たちのようなヒーローになりたい」と言ったケットシーの言葉に

その意味を感じる事が出来たのです。

 

 

迷子のシーンは地味ですが、あれが無かったら「ヒーローになりたい」というセリフは

主張の重さに耐えきれず「腰」がボキッと折れていました。

それほどに大事なものだったのです。

 

作品のテーマを据えた後には「それは具体的にどういうものか?」という

思考が入るのは「あたりまえ」ですが、その「あたりまえ」を確実に

やってくれると認知されているからこそ、

田中仁脚本は信頼されているのだと私は思っています。