デパプリ総括
デリシャスパーティプリキュアという作品の1年間を振り返ったとき、
私が思いつく印象は
■キャラクターが主役から脇役までしっかりイメージが固まって、地に足が付いている
■だけど敵サイドについては「モンスター供給係」以上の意識を感じられなかった
■作品としてどんな主張をしたいのかが明白で、それに向けた筋道もキチンとしていた
■1話ごとの「何を描く回なのか」も明白なことが多く、そこに
なるべく多くのキャラクターが楽しく参加できるような意識が感じられた
と言う事でした。
それを実感できるようなまとめ方は無いか、と考え
全話の要点をまとめて書き出してみる事にしました。
゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜
1話:プリキュア登場
2、3話:ローズマリーとコメコメの掘り下げ
4話:二人目登場
5話:ここねの掘り下げ
6話:学校に怪物登場(ここねとクラスメイトの距離が縮んだ)
7話:3人目登場
8話:らんの掘り下げ
9話:ここねとらんの違いを引き立たせつつチームとしてまとまる回
10話:こうげきおもちゃ登場
11話:ジェントルーの分断作戦
12話:ジェントルーの変化の兆し
13、14話:拓海とブラペ
15話:ここねピクニック回
16話:らんの欠点と克服
17話:あまねの選択
18話:あまね、プリキュアに変身
19、20話:あまねの掘り下げとメンバー交流
21話:らんと和菓子店
22話:伝説のクレープ回・ブラペの意思表示
23話:ここねと家族の回
24話:コメコメの精神的な成長
25話:キャンプ回
26話:ここねとピーマン
27話:らんの妹弟とコメコメの成長
28話:キャンドルタクト
※ 最盛期・いちばんおいしいところ ※
29話:クッキングダム回セルフィーユ登場
30話:お祭り回
31話:プリンセス入れ替わり回
32話:らん中心のお話
33話:あまねとハロウィン
※ 仕上げパート ※
34話:野球少年と頑固じいさん(おばあちゃんエピソードへのネタ仕込み)
35話:ここね引っ越し?ここねの仕上げ回
36話:らんの仕上げ回
37話:あまねの仕上げ回
38話:ゆいとおばあちゃん
39話:続・ゆいとおばあちゃん
40話:拓海の仕上げ回
41~44話:フェンネル=ラスボス登場
45話:エンディング
゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜
こんなかんじですね。
ざっと眺めて思うのは、本作の構成は
「キャラを登場させたらまず掘り下げる」。そして
「そのあとにキャラクター同士の絆を深めるステップを踏ませる」
意識が徹底されてたな・・という事です。
登場させた後にはちゃんと視聴者に愛着を持ってもらえるように
人物を描き、
その人物の加入によって人間関係はどのように変化したのか・
というのをキッチリ見せる
と言う事ですね。
キャラクターは登場することに意味があるのではなく、
登場することによって作品がどう動いていくのかが分かる事
こそが大事なのです。
そうしてきちんとデパプリチーム全員のキャラの特徴と
人間関係が視聴者にも理解できていたからこそ、29話から始まる
お祭り回がものすごく楽しく、キャラクターが元気に動き回る
魅力的な回の連続になったのです。
゚・*:.:♪*・作品を通して何がやりたいのか・何を描きたいのかが分かる事゜゚・♯*:.。. :*・゜
「食べる事を通じた人との交流と、そこから生まれる幸福感」
人との距離が分からない子や自己主張に迷いがある子、
苦手な子が相手だったり知らない人だったり
そんな登場人物の色んなドラマが、食べ物を通して幸せな解決へ向かう。
作品全体を通しても、各話毎においても、
「この作者は、この場面・作品を通して何が言いたいのか」が分かる回が
多かった事。
そのドラマも、キャラクターが誘導されてただ喋らされるようなものではなく
自分の意思と足で話を動かしている回が多かったこと。
それが、私が安心して見られる事が多かった理由です。
(それが出来ていなければ、そもそも最後まで視聴を続けられませんでしたけどね)
※ ※ ※
そして「作者は何がやりたかったか」を語るならこの話題は欠かせない。
変身はするけどブンドル団とのバトルをしなかった回。
恐らくは平林さんの肝入りネタ。
お姫様との入れ替わりというありがちなネタを、お約束をしっかり守って
非常に楽しい一話になっていました。
他にも個人的大当たり回をざっと振り返ってみましょうか。
ここねとあまねの絆が深まった回。
大人しい回かと思いきや、かなり味わい深かった
「グルメインフルエンサー」として和菓子屋さんを守ろうとしたらんのお話。
お店の継続は叶わなかったけど、料理に込められた想い出は確かに守り、
残すことが出来たというお話
「苦手なものでも無理してでも食べなさい」
ではなく「いろんなものが食べられた方が楽しいよ」
という主張がとても好きでした。
実は珍しい、ローズマリーが中心だった回。
お祭りでライバル店に負けないようにみんなで頑張る。
というだけの筋書きなのに、ひとつの目標に向けてみんなが元気に一致団結して
いる様子がひたすらハイテンションで楽しかった。
らんとメンメンの絆が予想以上に熱く強く感じられた回。
ずっと匂わせて来ていたゆいとおばあちゃんの物語。
娘のために頑張り過ぎちゃうパパさんに、無理しすぎないでと
言ってあげる優しい回。
おばあちゃんの想いを継承するゆいの物語。
ブラペ最終章。
拓海が戦う理由と想いが引き出されていた回。
熱くてカッコ良かった。それでも、一番大事なところは「プリキュア」に
譲っているところが見事でした。
※ ※ ※
うん。最終回感想で
「不満も少なくなかったけど、全体通して見ればいい思い出がいっぱいあった」と
書きましたが、こうして振り返るとそれを改めて実感します。
ーしかしなんですね。
ローズマリーは大人として、異世界人として狂言回しの機能を発揮していましたが
ブラペ=拓海は作品において果たしてどんな役目があったのでしょうか。
「変身してサポートに入る男の子」。
そんなポジションが無くてもストーリーは特に問題なく回るのです。
「大人視聴者に向けて、恋愛要素を取り入れる」なんてトチ狂ったプロデュースが
あった様子もありません。
拓海はシナモンの息子だと判明しましたが、異世界との交流や問題解決の
カギになるような事もありませんでした。
どう考えてみても、物語進行上においては必要性を感じないポジションの
キャラクターなのです。
しかし。
「ゆいの幼馴染」として「ゆいの人物描写」をするにあたっては
非常に重要なポジションであり続けました。
いまのゆいを形作った、「幼いころのゆい」を自然に描写するのに
拓海の存在は不可欠です。
そして拓海もまたゆいと同様に料理と食べ物を大切にし
「食事を通した喜び」を表現する作品の幅を広げる機能も果たしていました。
仮に「女の子だけの5人組」として描くよりも、
年上の男の子として、女の子4人チームから少し離れた場所で
彼の料理への接し方が見える事の方が
テーマを描く「手数」が増えていたはずなのです。
単に「プリキュアではないけど戦う男の子がいる」という事自体の面白さも
ありましたが、それだけの理由で用意されたキャラクターであったなら
恐らく今頃彼はここまで愛されるキャラクターにはなっていなかったでしょう。
「作品テーマを形作る存在の一人」として視聴者に
認められなければ、作者がゆいたちのそばに彼を描いてみたところで
「作者の自己満のゴリ押し」としか見られなかったのではないか、と思います。
゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜
今のところ、言いたいことは以上ですかね。
また何か思い浮かんだら追記するかもしれません。