デパプリ感想を語るブログ

「デリシャスパーティープリキュア」の感想をと面白さの秘訣を語る専門ブログです。

第44話・シェアリンエナジー!ありがとうを重ねて

脚本:平林佐和子

絵コンテ:深澤敏則・手塚江美

演出:深澤敏則

 

今回の記事は「良かった!悪かった!」と割り切れる内容にはなっていません。

どっちもないまぜになっています。

幸い、不満は前半部分に集中し、後半は良かったところを語って〆る事が

出来ましたが

 

前半はファンにあるまじきヒエヒエハートを披露しておりますので

この点、予めご了承ください。

 

※  前半の、「うーん」な部分  ※

う、うーん。

ものすごい気合の入った作画、と声の演技。

素敵っぽいシーンとセリフ、演出と効果がふんだんに盛り込まれた

正にラストっぽい「雰囲気」は出てましたね。

 

きっと今回のために仕込んできた伏線にも作意が込められていたんだろうなと

思うんですが・・

 

素敵っぽいシーンは沢山あったのに、なんかどれもこれも私には

「あらかじめ決めていたシーンを順番に実行している」だけのように見えてしまって、

そこにキャラクターが息づいているようには見えなかった。

絵面はなんだかエモーショナルっぽい感じだったのに、私は

「なんかすごそう」という程度の感想しか持つことが出来ませんでした。

 

それはそうです。

ゴーダッツが出てきて以降の展開にはまったく心が付いて行ってなかったのですから。

 

 

物語に付いていく気にならなくて、真面目に場面から作意を読み取ろうという

意識が持てなかったのが一番大きな理由ですが、それを抜きにしても今回は

ゴーダッツの戦う理由と、クライマックスでプリキュアが語る

「絶対に諦めない」「ありがとうは心のあつあつご飯」

という主張が対比になっていない事も

興ざめに拍車をかけたように感じます。

 

この場面のゆいは、相手の想いや言う事を無視して、

とりあえず自分が言いたかったーいや、

「作者が言わせたかった」素敵な言葉を言わされ始めたかのようでした。

 

綺麗な絵に乗せてきれいなことばが語られていましたが、

その綺麗さを担保する内容・表現があったとは思いません。

監督脚本の不足を作画と画面効果と演技力で誤魔化したように見えました。

 

 

もちろん「自分だけが独り占めしたい」というゴーダッツと

「みんなでシェアしてありがとうの輪(和)が広がる」という意味で

対比させようとする意図があったであろう事は理解できたのですが、

それを表現という形で感じ取ることは私には出来なかった。

 

頭で理解は出来ても心に響かなかったというべきか。

 

 

「作者は、皆の食事、幸せを守る・取り戻す!という主張に沿って

作品を作っているはずだ」とは分かっているのに、

そのド派手なバトルシーンは

「ただ相手を殴って止めようとしている様にしか見えなかった。」

 

プリキュアの「攻撃する姿」を描くなら、その前に

「ゴーダッツを止める」という筋書きの中に、

主人公4人の「想い」をもっとしっかり描いておいてほしかったです。

 

 

 

例えば劇場版デパプリではラストバトルの中に

「コメコメの、ゆいのようなヒーローになりたいという願い」

「コメコメがケットシーに伝えたい想い」が、

ド派手な絵の中に乗っかっていたじゃないですか。

 

それは、その場面に行くまでに、キャラクターが自分自身と、

拳を向ける相手に対してどんな想いを抱いているかをちゃんと示していたからです。

 

゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜

招き猫についても「何か仕込みがあった様子」の前振りはしてありましたが

それが具体的にどのようなものだったかは

効果が発動した後もなかなか要領を得ず

「とりあえず危機を救う奇跡を起こし続けるもの」というふんわりした表現に

なっていて

 

「なんでも作者のやりたい筋書きの通りに動いてくれる、

都合のいい切り札だなぁ」・・などと思ってしまいました。

あんまり万能だとプリキュアの頑張りが無くてもいいかのように

見えてしまうじゃないですか。

 

(設定上はちゃんと詰めてあったのかもしれませんが。)

 

゚・*:.:♪*・不満はここまで゜゚・♯*:.。. :*・゜

 

ーというのは、ゆいがフェンネルの想いと向き合うまでの話。

 

フェンネルの想いに向き合ってからの展開は素直に「ああ、良い。」と

思う事が出来ました。

 

「たとえ会えなくなってしまった人でも、言葉から思いは受け取れる。」

 

というのはゆいの物語から生まれた言葉。

ラスボスに向けるにはおあつらえ向きですね。

 

「取り戻そう、みんなの笑顔を」

から始まる最後のバトルシーンは素直に楽しむことが出来ました。

こっちにはゆいの想いが分かりやすく感じられたから。

 

ていうかこの展開はケットシーとのラストバトルと同じ文法ですよね。

 

ただ、惜しむらくは、

「やっぱりゆい以外の3人は同意して付いてくるだけなのか・・・」

という所。

私はプリキュアを名乗るからには全員が主人公だと思ってしまうのですが

本作の(本作に限らないけど)監督らは

「一人の主人公と仲間たち」、という考え方なのでしょうね。

それが・・・・ただ自分の好みと合わないというだけではありますが、

最後まで残念なままでした。

 

「うん、ありがとう!」

いつも見守っているおばあちゃんと一瞬だけ言葉が通じた瞬間。

その表現の意味はー見るものが好きに解釈していいところな訳ですが

 

私は、「おばあちゃんの言葉がいつも心にあるゆいには、

おばあちゃんも絶対にそう言ってくれている!と信じているからそう聞こえた」

のだろうと解釈しました。

 

 

キャラクターのアツい想いに、神業作画の技術が乗っかって、

実に心の踊るラストの大暴れになりましたね!

どこからどこまでが板岡さんの仕事か正確には言い当てられませんが、

あのお方のアニメーションは単にグルグル動くだけでなく

「魅せるアイディア」がたんまり上乗せされていますから

エンドロールを見るまでもなく「ああ、板岡さん居たわ」って分かりますよね。

 

今回はエンドロールの筆頭に居た事から、たぶん一番枚数が多かったのでしょう。

 

ポーズや構図、動き等に細かなアイディアが沢山詰まっていて、

それを高速で畳みかけられるからまさしく「圧倒」されてしまう。

 

だからあのお方のアニメーションは通しで見た後はコマ送りでじっくり観察しても

面白いんです。

これすごいよなあ・・・

この3枚目、映像チェックでハネられるの上等で書いたんじゃないかな。

ゆいと絵描きの心の気合がシンクロしてる、アツい絵ですよね。

 

それが伝わったから、監督もこれを弾く事は出来なかったんじゃないでしょうか。

 

ていうか、本当に笑顔になれる未来を選んだだけだっつーの!

 

うん。いいですね。

 

こっちもいい。

「単純で騙されやすい」スピリットルーの特徴と

ナルシストルーの賢い特徴を生かしつつ、彼の更生からの活躍を見せてくれています。

 

 

ーまあ本当は、

もっとラスボス戦にガッツリ絡むのを期待してはいた

のですが。

 

 

こんなささやかなのじゃなくて、

シャットさんみたいなアツくてカッコイイやつをさあ!!(´・ω・`)

私はシャットさんの「プリキュア今だ!」のカッコイイボイスが未だに

脳内再生余裕なんですよ!もう何年前ですかあれ!

あのシーンで感動した記憶は、いまだ全く色あせてません。

ホラ見ろよ見ろよ!最ッ高だろぉ!?

ああ~~~カッコイイ!たまらねえぜ!!

 

 

 

これさあ・・・・・

悪意の暴走?なのかもしれないんだけど結局のところ

期待してたものが貰えなくて我儘言って暴れた挙句に

泣いちゃったガキンチョと同じですよね。

(そこに良心の呵責や後悔があったとしても。)

 

・・・・カッッッッッコわるいなぁ・・・・

・・・なっっっっんてカッコ悪い

ラスボスなんでしょう!!

キングジコチュー以下ですよこんなの。

素晴らしい主張を秘めているはずの主人公とまるで釣り合いが取れてません。

 

 

体は大人、心は子供。そんな敵を相手に全力で殴りかかって、それで

カッコイイヒーローの姿がえがけるとでもお思いになったのでしょうか。

どういうつもりだったのか、監督に真面目に伺ってみたいです。

 

 

ヒーローがカッコよく活躍するには、その主張に釣り合う

魅力的な敵が必要なんです。

だって敵が強くなきゃ極端な話、

主人公が一人で好き勝手に主張をしゃべるだけの作品になっちゃって

敵味方の構図の意味が希薄になっちゃうんですから。

そういう作品は過去にいくらでもあったでしょう。

 

思えばデパプリは敵サイドがずっと弱いままでしたよね。

 

今作の監督脚本は、ヒーロー作品における敵キャラクターの重要性については

まるっきり無頓着だったように思います。

 

もちろん監督・構成の主義主張に従ってデザインされたはずの設定ですから

その主義までも否定はしませんが。

 

うひょー┌(┌^o^)┐ーカッコイイー!!!

※上記の不満を無視すれば。

 

ポージングもスタイルも素晴らしいですね。

少年向けアニメみたい。

 

゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜

次回で最終回ですか。

 

不満も少なくなかったですが、総合して振り返ってみればやっぱり楽しかったです。

総括は来週改めて語りますが、もうこの時点で

最後までデパプリらしさを出し切ってくれることは分かっていますから

 

「毎週日曜日のOAを楽しみに生活する」という、私が手放した日々を

最後まで噛み締めながら来週を待とうと思います。