39話:お料理しなくていい!?美味しい笑顔の作り方
脚本:平林佐和子
絵コンテ:小村敏明
演出:岩井隆央
おばあちゃんの人生経験から学び、受け継いで、そして超えていく。
ゆいの個人回は前回と合わせた前後編だったんですね。
いろんな要素が混ざり合っていながら、話が綺麗にまとまっていて感心しました。
・ここぞとばかりに登場しまくるおばあちゃんの言葉ラッシュ
・おばあちゃんの語録でも解決できない問題にゆいが悩み、その答えを見つける物語
・セクレトルーの「完璧でなければ」という心の闇が垣間見える
・拓海君のお父さんがシナモンさんというネタバらし
ゲストの女の子とお父さんのそれぞれの想いも
適度なセリフと絵でしっかり伝わるように演出されていました。
それでいて物語がゲスト中心に傾く事もなく
お話は「ゆいの悩み」として進んでいました。
「おばあちゃんはお料理が好きだったから、苦手な人の言葉は無いのかもしれない」
というのも分かりやすい話でしたね。
ゆいが戦えない!
というシチュエーションも「悩みがある=元気が出ない=調子が出ない」
をゆいらしさに変換して描いて見せてくれていました。
「完璧でなければだめなんて、自分を苦しめるだけだよ!」
このセリフはセクレトルーとお父さんの共通点とその解決法を橋渡しするもの。
というより、セクレトルーの掘り下げにかかったからこそ制作者は
この親子をゲストとして用意したのですから、話が共通するのは当たり前。
最近触れてませんでしたが、今回もマリちゃんのアシストが
随所で光っていましたね。
主人公のそばにいて、悩む中学生の助けになるような言葉をいつでも
投げかけられるポジションって、本当に大事だなーと思いました。
「セクレトルーの人生経験ゆえの言葉だから心に響いた!」
という言葉が出るのはゆいらしい知性の高さを感じさせるものですが、
それは「完璧主義が過ぎて挫折した」というセクレトルーの心の傷を
抉る一撃でもあった訳で。
ナチュラル煽りになっちゃったんですねえ(^ω^)
「バトンを受け取った私自身が生きて感じた言葉を届けなきゃいけないんだ!」
これが今回の物語に込められた主張。
熱く、分かりやすく、筋もしっかり通っている。
作画もここだけはがんばって!と指定が入ったのかそれとも
原画の人が気合の入れ所を分かっていたのか、
とても心地の良い印象的な数秒間になっていました。
゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜
受け継いで成長していくということは、受け継ぐ元よりも大きな成長を
見せなければなりません。なぜなら受け継いだ側は、「おばあちゃんの人生経験」の
分だけ既にアドバンテージを受けているのですから。
「超えてこそ、その愛情に報いた事になる」。
今回はそういう祖母と孫の姿を描いたのですね。
ゆいの個人回は前回と今回がセットだったって事なんでしょう。
そして地味ですが、ゆい自身に「悩む姿」があったところも見逃せません。
このパートが無いまま、その後にどんな素敵な言葉を言わせてみても
軽くて心に響くものにはならなかったのですから。
ただ「イイ言葉を言わせる」だけではなく、そこにしっかりと心を乗せる
知恵と技術が見られたことが嬉しかったです。
※ ※ ※
オチもいいですね。
「頑張りすぎないで、たまには外食でもしましょうよ」
その場所がゆいの家というのも非常にすわりが良い。
「ご飯は笑顔」を友達が使いだした。
というのも象徴的ですね。ゆいとおばあちゃんの想いはそうして広がっていくのだ
そう感じさせてくれます。
「若奈ちゃんのゆめ、私にも応援させてください」
もいいですね。お母さんはおばあちゃんの娘なんですから。
強いて不満を言うなら、メンバー3名が完全に脇役だったことでしょうか。
それを少しでもフォローしたいかのようにらんのことわざギャグが
入ってましたがー・・ここだけは苦しいなぁと思いました。
拓海君がここへきてキーマンになるのか。
※ 脚本演出 ※
ああ~、やっぱ平林さんなのか。
説明をやりつつ作品の主張もしっかりしててまとまりもいい。
今回の脚本演出には
いろんな要素を同時に処理しながら一本の話として綺麗に組み立てる
頭の良さを感じました。
ありがちなミスとしては、一つの事柄に気を取られ過ぎて他がグズグズに
なってしまってまとまりも無くなるー例えば今回なら、
ゲストのキャラ描写に傾倒しすぎてしまって作品自体の主張が
引き立たなくなってしまうとか。
あるいは思いついた「イイセリフを言わせたい」で頭の中がいっぱいになってしまって
ゆいの悩むシーンを入れなかったりとか。
デパプリは不正アクセスでゴタゴタしていた時期を除いては
そういう技術的な手落ちが本当に少ない。すごいよなぁ~