デパプリ感想を語るブログ

「デリシャスパーティープリキュア」の感想をと面白さの秘訣を語る専門ブログです。

第43話レシピボン発動!おいしーなタウンの危機

脚本:平林佐和子

演出:横内一樹

「答えは大切な人の笑顔にある」

作品が〆に向かう中で、これまでに描いてきたその「笑顔の実例」が豊富にあった事!

これこそがデパプリがこのテーマを一途に描いてきた証拠と言えるでしょう。

 

その笑顔はプリキュアが守ってきたもの。

デパプリが「料理は笑顔」のために戦ってきた結果なのですから。

 

 

序盤は正直、話や展開に全く心が付いて行かず「うーん」って感じだったんですが

ラスト数分から急に心が惹きつけられて、掌を返す羽目になりました。

今回はそんな私の感想を時系列のままお伝えいたします

 

 

゚・*:.:♪*・゜゚前半の「うーん」な部分・♯*:.。. :*・゜

 

ゆいが泣く意味も分かったし

その後の慰めもいい場面だなとは思ったーーはずなんですが、

全く心が動きませんでした。

 

物語に入り込めず、淡々とした進行に付いて行けず、

朗読劇を聞いている気分でした。なんでだろう。1週あいたせいかな?

 

ーいや、先週の時点で心が付いて行かなかったのに、

それを前提にして話を進められても入り込めるわけが無かったのかもしれません。

 

あとはやっぱり、この最終盤でさえローズマリーのキャラに頼りすぎている

事も気に入りませんでした。

 

セクレトルーにもゆいに対しても、ストーリー進行だって

彼女が一番活躍しちゃってるじゃないですか。

ゆい以外の3人は話について来てリアクションするだけ。

ゆいにもほぼ寄り添う事しかできていない。

「この作品の主役は誰なんですか?」

作者に問いたくなりました。

 

これが途中なら良いんですが、最終回直前でしょう?

マリちゃんは一歩引いて、プリキュア達の成長を見守るポジションに

立っていてほしかった。

 

 

更にラスボスの動機も子供っぽくてしょうもない上、

 

食べ物が奪われるというのは人類存亡の危機ですが

そもそも本作はそうした深刻さを避けてここまで来たというのに

最終盤だからという理由だけで急にそんな重い話をされても

付いていく気にならんのですわ。

 

40話までは毎週ウッキウキで見て感想書いていたのに、

ラスボスが登場してから急にスンッ・・となってしまいましたね。

 

 

最終展開で無理に敵の野望の成就からの危機を描く、

という「いつものプリキュアの定番」をなぞろうとするのではなく

もっと別のアプローチをしたほうが良かったのではないか?と思わずにいられません。

 

例えば全然レシピッピが集まらない・集められなかった部下に業を煮やして

発狂したボスと、それに困った敵サイドがプリキュアに助けを請うとか。

 

部下を全員失った悲しきラスボスが惨めに死にゆくのを、

事情を知ったプリキュアが助けに行くとか。

 

「食事を楽しめなかった人の心の怨念が凝縮した思念体がラスボス」とか。

 

そういう形なら「いつもの最終回前の絶望感」を出さずとも

プリキュア4人の成長や作品の主題を踏まえた山場が作れたんじゃないでしょうかね。

 

 

プリキュアとはこういうもの」という固定観念にとらわれず

作品とキャラクターのテーマに向き合う様子を描いて見せてくれていた

デパプリだからこそ、

 

この最終局面に「いつものプリキュアの型通り」をやってしまった(ように見える)

事がとても残念に思います。

 

※  ※  ※

 

ーと、ラストあたりを見る前まではこんなことを考えてました。

それが、ですよ。

 

ここまでヒエッヒエだった私の心がここから急に熱を帯び始めます

 

゚・*:.:♪*・゜゚よかったとこ・♯*:.。. :*・゜

ゴーダッヅうううう!

この声、よかったですねえ!

親しみを持っていた仲間だからこそ許せないとか、

裏切られた悲しみや憤りとか、そう言ったマリちゃんの感情がものすごく

伝わってくる素晴らしいシャウトでした。

 

フェンネル」とは呼ばず「ゴーダッツ」と呼んだのは、

彼の心根までも悪に染まったとは信じていないからでしょう。

(彼の動機は割と彼の幼稚な性根に由来している気はしますが)

 

レシピボンも、ゆいの笑顔も、取り戻す!

ああ!ここはカッコイイ!掛け値なしに最高だ!!

 

変身できないゆいをおいて4人でゴーダッツのもとへ向かった事で

つねに「付き添い」ポジションに置かれていたプリキュア3人がようやく

自立して見せ場を作ることが出来た。

 

当然、コメコメを寝かせたのはこれを意図しての事だったのでしょう。

不満はあれど、この意識があった事は見逃せませんね。

 

これもいい。

セクレトルーの改心に直接ここねが関わった訳じゃないけど、

「神の舌様」を経由してここねの真心が彼女に伝わるという仕組み。

 

そうすることでここねのこれまでの物語ー

「自分の意思をしっかり主張する」「心を通わせるお友達」

というテーマが引き立てられています。

 

セクレトルーの可愛さもいい感じでしたね。

尊敬する人も自分と大して変わらない部分がある。それは彼女にとって

大きな励ましになるでしょう。

 

奪われていた「おむすび」という名前を思い出す。

それはヨネさんが孫に託した願いであり、そうであるからこそ

これを思い出した事が、ヨネさんの想いの象徴である招き猫が

奇跡を起こすトリガーになった。

ゆいという名前、おむすびが好きという設定、おばあちゃんの名言、

招き猫ー色んな細かな「仕込み」がこの逆転の中に詰まっています。

 

こういう所に作りの細やかさ・作品テーマに丁寧に向き合っている様子を

感じ取る事が出来るんですよね。

終盤まで不満をメモに書き溜めて見ていたのに、

気付けば見終えた感想はスッキリしていて「よかったー」と思っている私が居る。

 

なんとも不思議な体験でした。

 

それはやはり、不満はあれども

「作品テーマに向き合って作品を作っている」という部分だけは

ブレずにしっかり描かれている。

 

それを感じ取る事が出来たからだと思います。

これならば最終回まで作者を信じて見続ける事が出来そうです。

 

【追記】

今回の後半で見られた描写にはデパプリの「これまで」がふんだんに

盛り込まれていました。

 

・拓海、ここね母の口から語られるおばあちゃんの名言

・招き猫に何か仕込みがしてあったという設定

・これまで作品で見られてきた笑顔の大量の振り返り

・ここねの成長や友達との絆

 

それらはすべて、「料理は笑顔」「笑顔のために戦うプリキュア

という作品テーマに沿って描かれてきたものであり、

だからこそ、この最終局面でそれらが綺麗に一つに

繋がって物語を動かす力になったのです。

(らんとあまねにも主題に繋がる活躍が欲しかったですが。)

 

「どういう作品にするのか」という意思に従って作品イメージを膨らませ、

一つ一つの要素を作っていくというのは本当に大切なことだなと

今回改めて思いました。

 

゚・*:.:♪*・余談゜゚・♯*:.。. :*・゜

 

ワシの()セルフィーユちゃんに最近ちょっとだけ出番が期待できるようになった

のが嬉しい。

29話で一度大きな見せ場があったっきりなのに、

こうして彼女が登場することがこんなに嬉しく思うのは

あの回・あのシーンがよほど心に刺さっているからなのだと思います。

teioteiteio.hatenablog.com