35話:ここねとお別れ!?いま、分け合いたい想い
脚本:伊藤睦美
演出:土田豊
「気が付けば、大切な人が沢山出来ていた。」
「遠慮せずに、自分の想いをはっきりと言う。」
ここねの「これまで」が詰まった決算回でしたね。(もうそんな時期なのか‥)
今回のお話は、
これまでにプリキュア仲間、クラスメイト、家族、それぞれとの交流と
ここねの成長を描いてきたからこそ出来たものですよね。
「過程」「積み重ね」。
私はプリキュアにおいては久しくこの感想を持ちませんでした。
それが去年まで視聴をやめていた理由でもありましたから。
クライマックスで語られた
「ここねのホンネ」
は、彼女の物語の「結」と言えるものでした。
腹を割って話せる友達も居らず、両親にも遠慮して「自分の気持ち」を
出さないようにしてきた彼女が、1話ずつ、一つずつ変わってきたのが
「ここね回」だったのですから。
「お別れかもしれない」という定番ネタには
「またそれか」と思わない事も無かったですが、
子供たちはそうとは思わないでしょうしね。
大人視聴者が気にする事ではないでしょう。
結末も「両親と別居」ではなく
「パパは家に残るし、オンラインで一緒に食卓を囲む」姿を見せてくれたところに
「ここねの気持ちを尊重しながら、他とも折り合いをつけられる形」を
両親が考えてくれたんだなと察しが付けられる所が良かったですね。
ここねにとても大切な友達が出来たんだね、と嬉しそうに語り合う両親の姿が
一層引き立つ描写ですよね。
゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜
ただ正直、今回のテーマが見えてくる前の
シナモン関連についての話を絡めて進めている前半パートは退屈でした。
だってクッキングダムの事情については関心が持てていないんですもの。
それが主人公を取り巻く環境にどんな影響を与えるのかも、
主人公の目的や戦う理由にもつながっていない。
そんな作り手がこの先やろうとしている展開のための説明などに興味は持てません。
何かの「前振り」をするのなら、それが
主人公たちの目的や動機に繋がる描写をするべきだったと改めて思いました。
銀杏並木でここねのホンネが見え始めたところから
その空気が変わって、内容に引き付けられ始めました。
゚・*:.:♪*・゜゚・♯*:.。. :*・゜
「これまでを振り返る」描写
・ゆいたちと弁当交換
・クラスメイトとじゃんけん
・家族とボールドーナツ
「あのエピソードのその後」として非常に分かりやすいですよね。
とどろきさんが座ってるベンチの脇にあったのは15話のホットドッグですよね?
この時のエピソードは今回の話に引っかかるフックではないけど、
執事として彼女の成長と家庭の円満をひそかに喜んでいる。
そんなことが感じられる、いいカットだと思います。
ボールドーナツ。
こっちは「両親に遠慮せず本音、我儘を言う」というお話の象徴となった食べ物。
今回のお話にもつながる、まさに「思い出の味」。
あの回があったから、今回のお話がある。
食べ物が過去を振り返る象徴的な小道具として機能する。
というのは食べ物がテーマの作品らしくてとても良いですね。
のっけから重たい話が始まってましたから、それを深刻な雰囲気にし過ぎない
気遣いもされてましたね。
なんじゃこりゃ(゚ω゚)
と思いましたが、「演出:土田豊」の文字を見て納得。
美少女って事を忘れてませんか(゚ω゚)
けどまあここは少年漫画のノリですもんね。
土田監督と上ケンさんらしさのシナジーみたいに感じました。
先週、先々週とドタバタした印象がありましたが今回は
そういった怪しさもなく、「肝心の回にしっかり気合入れてきた」感じがしますね。
1週休みもあった事だし、立て直しが出来たのでしょうかね。
この回がコケちゃったら、せっかくここまで積み重ねてきた
ここねの物語が台無しになるところでした。
本当に良かったですね・・・
お疲れ様です。ありがとうございます。